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監修:岩手医科大学医学部 内科学講座 消化器内科消化管分野教授 松本 主之 先生

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎について

病気について

潰瘍性大腸炎って…

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症がおこる病気です。炎症で大腸の粘膜がただれたり(びらん)、粘膜が深くまで傷ついたり(潰瘍)することで、症状があらわれます。

また、症状が落ち着いたり(寛解期)、症状が悪化したり(活動期)を繰り返すため、長く付き合っていかなければならない病気です。

しかし、新たな治療方法の開発が進み、病態や症状に応じた治療法の中から、患者さんのライフスタイルや価値観に合わせたものを選ぶことができるようになってきました。
そのためにも、患者さんやそのご家族が潰瘍性大腸炎という病気や向き合い方についてより深く理解することが大事です。

潰瘍性大腸炎って…潰瘍性大腸炎って…

どんな症状が多いの?

潰瘍性大腸炎の主な症状は粘血便(粘液まじりの血便)です。また、下痢、腹部不快感や腹痛もよくみられる症状です。特に、粘血便は潰瘍性大腸炎に特徴的な症状であり、炎症による粘膜の損傷により出血をきたしたものです。
潰瘍性大腸炎の腹痛は、排便後も残便感を伴うことが多く、なかなかトイレから出られない状態になることもあります。

これらの症状は、よくなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことが特徴です。

潰瘍性大腸炎の症状粘血便、下痢 腹部不快感、腹痛粘血便、下痢 腹部不快感、腹痛

どんな分類の病気?

潰瘍性大腸炎(UC)は、クローン病(CD)とともに炎症性腸疾患(IBD)の1つです。
潰瘍性大腸炎もクローン病も消化管に炎症がおこる病気で共通点も多くみられますが、炎症がおこる場所や発症後最初にあらわれる症状などが異なります。
炎症がおこる場所は、潰瘍性大腸炎では大腸に限られるのに対し、クローン病では口の中から肛門までのすべての消化管でみられます。

炎症性腸疾患 潰瘍性大腸炎 クローン病炎症性腸疾患 潰瘍性大腸炎 クローン病

重症度の基準は?

潰瘍性大腸炎の重症度の分類には、日本・海外でさまざまな基準があります。日本における代表的な分類は、厚生労働省の特定疾患研究班が作成した基準です。
実際の診療では、重症度に応じて治療方針が決まります。

潰瘍性大腸炎の重症度分類

軽 症 :
表の軽症の基準①~⑥すべてに該当
中等症 :
軽症、重症の中間にあたるもの
重 症 :
表の重症の基準①、②の他に、③または④のどちらかに該当し、かつ①~⑥のうち4項目に該当(例: ①+②+③+④、①+②+④+⑥)
劇 症 :
重症の中でも特に症状が激しく重篤なもの
  重症 中等症 軽症
① 排便回数 6回以上 重症と
軽症と
の中間
4回以下
② 顕血便 (+++) (+)〜(-)
③ 発熱 37.5℃以上 37.5℃以上の発熱なし
④ 頻脈 90/分以上 90/分以上の頻脈なし
⑤ 貧血 Hb 10g/dL以下 Hb 10g/dL以下の貧血なし
⑥ 赤沈 30mm/h以上 正常

Hb: ヘモグロビン
顕血便の判定
(-)血便なし、(+)排便の半数以下でわずかに血液が付着、
(++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入、(+++)大部分が血液

平成29年度 改訂版(平成30年3月)潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針〔厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政
策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)平成29年度分担研究報告書 別冊〕,1-3, 2018.

難病情報センター(http://www.nanbyou.or.jp/)(2018年7月アクセス)

患者さんの数はどのくらいいるの?

厚生労働省が公表している潰瘍性大腸炎の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は増加傾向にあり、近年では16万人を超えています

※特定医療費(指定難病)受給者証: 特定疾患治療研究事業の対象者として認定された方に交付される(難病医療費助成制度に関するQ&Aもご参照ください)。

特定医療費受給者証所持者数
特定医療費受給者証所持者数特定医療費受給者証所持者数

難病情報センター 特定疾患医療受給者証所持者数(http://www.nanbyou.or.jp/entry/1356)(2018年7月アクセス)
厚生労働省 衛生行政報告例(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19.html)(2018年7月アクセス)より作図

何歳くらいで発症するの?

潰瘍性大腸炎の発症年齢のピークは20歳代~40歳代前半と、比較的若年で発症が多いことがわかっていますが、幅広い年代で発症します。男女比は1:1であり、性別に差はみられません。

潰瘍性大腸炎の推定発症年齢
潰瘍性大腸炎の推定発症年齢潰瘍性大腸炎の推定発症年齢

難病情報センター(http://www.nanbyou.or.jp/)(2018年7月アクセス)

原因は?

潰瘍性大腸炎の原因は解明されていませんが、遺伝因子、食事・喫煙などの環境因子、腸内細菌などさまざまな要因が組み合わさって発症すると考えられています。

原因は?原因は?新井万里, 金井隆典: IBDを日常診療で診る(日比紀文, 久松理一 編), 24-31, 羊土社, 2017.(改変)

どんなタイプ(型)があるの?

潰瘍性大腸炎は、病変(炎症)がみられる範囲に応じて、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型に分類されます。

病変(炎症)の範囲による分類

  • 直腸炎型
    直腸炎型直腸炎型

    肛門に近い直腸のみに
    病変(炎症)が認められる型

  • 左側大腸炎型
    左側大腸炎型左側大腸炎型

    病変(炎症)が
    脾彎曲部()までの型

  • 全大腸炎型
    全大腸炎型全大腸炎型

    病変(炎症)が脾彎曲部を
    越えて広がっている型

検査について

どんな検査をするの?

現在のところ、潰瘍性大腸炎の診断・薬の効果判定などを単独で行える検査はありません。そこで、潰瘍性大腸炎の検査は問診・診察に加え、血液検査画像検査などを併せて行います。

どんな検査をするの?どんな検査をするの?
  • 血液検査

    血液検査は、貧血炎症、感染症の有無や投与中の薬の副作用の確認などの目的で行われます。
    また、生物学的製剤を投与する際は、感染症の副作用のリスクがあるため、投与前と投与中に定期的に血液検査を行います(生物学的製剤についてもご参照ください)。

    血液検査血液検査
  • 大腸内視鏡検査

    潰瘍性大腸炎の診断で中心となる検査の一つで、肛門から内視鏡を入れ、大腸粘膜の炎症の有無、炎症の範囲などを調べる検査です。
    この検査は、診断時だけでなく治療効果の判定や大腸がんができていないかの定期検査の目的としても実施されます。
    大腸内視鏡検査を行う患者さんは、前処置として大腸の中を空にする必要があり、絶食や下剤の服用などを行います。

    大腸内視鏡検査大腸内視鏡検査
  • 注腸X 線/ 超音波/ CT・MRI検査

    注腸X線は、大腸に造影剤を注入して行うレントゲン検査です。病変の程度とその範囲を検査するときに用います。
    超音波検査は、病変の分布や経過を継続的にみるときに用います。
    CT・MRI検査は、病変部位やその周りの組織の詳細な情報(穴が空いていないかなど)を正確にみるときに用います。

    注腸X 線/ 超音波/ CT・MRI検査注腸X 線/ 超音波/ CT・MRI検査

治療について

治療目標は?

潰瘍性大腸炎の治療目標は、症状が落ち着いた状態である寛解の達成とその維持です。これにより潰瘍性大腸炎患者さんは通常の生活を送ることができます。

この目標のため、現在では薬による治療だけではなく、白血球を除去する治療(血球成分除去療法)や外科手術など、さまざまな治療が行われています。

潰瘍性大腸炎の治療目標(イメージ)

潰瘍性大腸炎の病態 潰瘍性大腸炎の治療目標潰瘍性大腸炎の病態 潰瘍性大腸炎の治療目標 こどもの潰瘍性大腸炎・クローン病と治療(第1版)(田尻 仁 編著), 15-30, メディカ出版, 2017.(改変)

治療の進め方は?

潰瘍性大腸炎の治療は、大きく寛解導入治療と寛解維持治療に分かれます。

活動期における寛解導入治療は、炎症を速やかに抑え、早期に寛解導入を図ることを目的として行います。
寛解期における寛解維持治療は、再燃を防ぎ、より長く寛解を維持させることでQOL(生活の質)を向上させることを目的として行われます。

潰瘍性大腸炎の治療

  • 寛解導入治療寛解導入治療
  • 寛解維持治療寛解維持治療

治療はどんな順序で行うの?

潰瘍性大腸炎の治療では、薬による治療だけではなく、さまざまな治療が行われています。

実際の治療では、多くの場合まず5-ASA製剤が投与され、十分な効果が得られないときはステロイド薬を投与します。
それでもうまくいかない場合は、免疫調節薬生物学的製剤、免疫抑制薬の投与血球成分除去療法、そして外科手術(大腸切除)が検討されます。

※血球成分除去療法:患者さんの血液から、炎症の原因となる活性化した白血球を除去する治療法

潰瘍性大腸炎の治療の進め方

潰瘍性大腸炎の治療の進め方潰瘍性大腸炎の治療の進め方

どんな薬があるの?

現在、潰瘍性大腸炎の治療に使われている薬には、大腸の炎症や免疫を抑える5-ASA製剤、ステロイド薬、免疫調節薬、生物学的製剤、免疫抑制薬、JAK阻害薬があります。

潰瘍性大腸炎に用いる薬剤については、寛解導入のみで使用するもの、寛解維持のみで使用するもの、寛解導入、維持の両方で使用できるものがあります。

潰瘍性大腸炎治療薬の特徴

潰瘍性大腸炎治療薬の特徴潰瘍性大腸炎治療薬の特徴

生物学的製剤ってなに?

生物学的製剤は、生物が作るタンパク質をもとにした薬で、特定の物質を標的とするよう設計されています。
潰瘍性大腸炎で使用される生物学的製剤には、炎症を引き起こすタンパク質(サイトカイン)の働きを抑える薬と、炎症を引き起こす細胞(リンパ球)が大腸の組織へ侵入するのを防ぐ薬があります。

生物学的製剤とその特徴

生物学的製剤とその特徴生物学的製剤とその特徴

血球成分除去療法ってなに?

血球成分除去療法は、体外循環装置を用いて、炎症の原因となる活性化した白血球を除去する治療法です。血球成分が除去された血液は、患者さんのもう片方の腕の静脈に戻されます。
ステロイドの投与で効果がみられない、またはステロイドの投与量が減らせない中等症~重症の患者さんなどで使われます。

血球成分除去療法ってなに?血球成分除去療法ってなに?

手術はどういう時に受けるの?

服薬による治療ではなかなか改善しない重症~劇症の患者さん、薬の副作用で服薬が難しい患者さん、寛解期が短く、症状が頻繁に現れる(再燃を繰り返す)患者さん、ステロイドがなかなか減量できない患者さん、大腸がんを合併した患者さんなどでは手術が検討されます。
大腸をすべて切除する手術が基本ですが、排便機能が失われるため、ストーマと呼ばれる人工肛門を作る必要があります。近年では肛門付近の大腸を残し、排便機能を温存する手術も行われています。

手術はどういう時に受けるの?手術はどういう時に受けるの?

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